ジュエルアカデミー ジュエリーってどんなもの?

ジュエリーには「量販品と一点もの」があるという「説」+α2023.06.21 更新

パン子先生

ジュエリーには、「量販品と一点もの」があります。
この区別って普通あまり意識されてはいないんだけど、ここのところ、私としてはちょっとばっかし押さえておきたいところなんだ。
良し悪しは別にして量販品と一点ものでは、そもそもの種が違うというか、育つ畑が違うというか、育て方が違うというか。
同じように見えるかもしれないけど全く別モノっていうか、まーそういうものでもある訳なんだ。
だからそれが、ジュエリーを客観評価する場合のひとつの区分や、モノサシになるってこともある。

ラビちゃん

だよね。ピョン。
買取業者のユーズド品評価の場合なんかでも、ほとんどのジュエリーは十把一絡げで、量販品としての評価しか受けていないようだし、買い取る側、買い取ってもらう側、どちらもそれって、あまり意識してないっていうのが実情かもしれないね。
まぁ、買い取る側の人達も、量販品と一点ものの判別なんて、少しばかり年季が入った、ジュエリーに詳しい人じゃないとできるものではないだろうしね。

ボブ美

?ブヒィ?
んで、ほら、そもそもだけど、
ジュエリーの「量販品と一点もの」って具体的に何が違うの?
沢山作ってるか、1つしか作ってないかくらいしか、わかんないブ~。

パン子先生

だよね。
ってことで、ジュエリーの「量販品と一点もの」それぞれの「成り立ち」について、ざっくりとした輪郭が掴めるように、簡単な比較でもって説明をしてみるよ。
ちょ~っと偏ってるかもしれないけど、そこのところ少し差し引いて聞いてみてね。

量産・量販品
市場需要と経済合理性に基づき製作される=コスト優先
一点もの
ジュエラー・デザイナーの美学に基づき製作される=思い入れ・思い込み優先
量産・量販品
作る前に見積もりをとる+先に売る値段を決めてからモノを作り始める
一点もの
作ってみないとわからない+出来上がってから値段を決める
※カスタムオーダーの場合を除く
量産・量販品
製作、流通、販売と、合理的かつ効率的に、可能な限りの無駄が徹底的に排除される。
なぜならば、それは一つの無駄が大量の無駄につながってしまうから。とても厳しい。
一点もの
製作、流通、販売と、随所に無駄が散りばめられている。
一つの無駄は一つの無駄でしかないので、大した問題にはならない。少し緩い。
量産・量販品
無駄がないからモノのコストが安く抑えられる。モノの味付けは製作時は薄くしてある。
モノのコストは安いが、それにブランドイメージやモノの宣伝広告費が乗る。モノの味付けは宣伝広告で決まる。
一点もの
無駄が乗っているのでモノのコストは高い。モノの味付けが濃い。
ブランドイメージやモノの宣伝広告費はほぼ乗らない。モノの味は作った時にしっかりと付いている。
量産・量販品
1つの型で量が作れる、量が売れるデザイン・モノづくりを目指している=最大公約数的なデザイン
1つの商品説明で、大量に宣伝し、大量の商品を売る。故にテレビ向き=誰がどこで売っても1つの性格のモノ
一点もの
一点ものは文字通り1つしかない。1つしかないものにCMは作れない、テレビ番組も作れない、雑誌販売もできない。
1つのモノを販売する個々人の種々様々なモノの説明でコツコツと売る=説明する人が違えば多少切り口が異なるのは味のうち
量産・量販品
多くの人にとって必要なもの
一点もの
特別な1人にだけ必要なもの
プーたん

ふむふむ。
なるほどねー。
だったら、ユーズド品の業者の買取価格は、量販品より一点ものの方が高いってことぉ?

パン子先生

いやいやいや。
いきなりそういうピンポイントな切り口に話を持っていくならば、それはそういう単純なことでは全くない。
「買取業者のユーズド品評価」というシチュエーションでの話ならば、要は評価する側としては、高く売れるものならばそれなりに高く買うってだけの話になる。

量販品でも、人気のあるブランドの人気のあるデザインとか型番とか、もしくは絶版のプレミアがついているものだとか、そういうものならば、間違いなく高く売れるから高く買ってくれるだろう。

一点ものでも、品質、デザインが一定以上のレベルのものであって、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どういった経緯」で作ったモノであるのか、少なくともこれらが明確なものならば評価は自ずと高くなるよね。
何故ならば、再販する時に役立つ情報になるからね。
物語が有るものと無いものでは、商品価値が大きく変わってくるってこと。

評価のポイント まとめ

1. これは何?
材料品質、材料産地、材料価格、デザインモチーフ
2. いつ製作されたもの?
時代背景、工賃・材料価格、ドル円レート等
3. どこで製作されたもの?
国、工場、職人、技術、設備、材料
4. 誰が製作? or 誰が製作依頼?
ブランド、メーカー、ショップ、顧客
5. 製作・製作依頼の意図・経緯は?
製作者 or 製作依頼者 or 購入者、意図と経緯、生産過程

又、所有者にとっては価値のあるとても大事なものであっても、客観的にわかりづらいモノ、万人受けしないモノならば買取評価は低くなる。
また、勝負を早くつけなければならない売却の場合ならば、一段と買取評価は低くなってしまうだろう。
まー、これらは従来からの流通的常識を前提とした話なんだけど。

プーたん

プ~。
なるほどね~、そりゃ道理だ。
てか私、ちょっと先走った話に持っていってしまったみたい。
始まりは、「量販品と一点もの」それぞれの性格と成り立ちの話だったんだもんね。

パン子先生

大丈夫だよプーたん。
折角なんで、も少し話を続けさせてもらうと。

従来からの流通的常識については、先ほど話した通りなんだけど、
それが近頃では、業者を介すことなしに、エンドユーザー同士でのユーズド品の取引きが、オンラインを通じて盛んになってきてるよね。
というか、今ではエンドユーザー同士でのユーズド品の取引きは当たり前化してしまっている。
新たな流通形態。とても大きく力強い市場だ。
ここ、重要なポイントだよ。

ひと昔前だったら、物を流通させるために業者の力は必要不可欠なものだった。
ざっと、メーカー → 問屋 → 小売店、って感じでね。
だから業者がユーズド品を買い取れる価格ってのは、どうしても「流通の最も川上であるメーカーの生産価格以上に安い価格」が始点となっていたという訳なんだ。

ユーズド品なんだから、新たに作るモノより安くなくっちゃ流通できないだろうからね。
しかし今は、エンドユーザー同士でいくらでもユーズド品を個別に取引できる環境がオンライン上に整っているから、従来の流通の流れにモノを乗せる必要がなくなってしまった。
今日明日お金が必要って話ではないなら、売り手の一方的な価格設定さえも可能になったという訳なんだ。
だから逆に言えば、所有者に「販売力」と「時間」があって、量販品、一点ものに関わらず、ジュエリーに本来備わっているべき魅力プラス「独自性」さえあれば、モノの価値は上がっても、下がることはないってことになる。

プーたん

プ~。
これまた、なるほど~。
従来の流通の常識とは傾向が変わってきてるよね。

パン子先生

但し、先ほども言ったように、新たな流通市場であるエンドユーザー同士の直接取引の場合は、今日明日お金が必要という事ではないなら、急ぎじゃないなら、いつだって構わないなら、って条件がつくって事にはなるよ。
時間にある程度の制約があるとするならば、売り方もよく考えなければならないし、価格も当然一方的なものでは難しいよね。
オンライン上にモノを上げておけば、いつかはかならず売れるなんて甘いものではない。
ジュエリーを売るチャンスは飛躍的に大きなものになった訳だけど、それは全てのモノや人にそうなった訳だから、自ずと競争の機会も同様に、飛躍的に大きなものになっているという事になる訳だからね。

ラビちゃん

何事も表裏一体ってことだね。
ピョン。

ボブ美

ブ~。

プーたん

そんじゃ、ちょっと頭ん中整理してみるよ。

ジュエリーには量販品と一点ものがあるってこと。
それぞれ成り立ちの違いに特徴があるってこと。
ユーズド品の買取評価および販売市場には、従来の流通市場(間接)と新たな流通市場(直接)があるってこと。
結論的にジュエリーには、「ジュエリーに本来備わっているべき魅力プラス独自性」が必要だってこと。

パン子先生

そーゆーこと!

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